2006年03月03日

概念フレームワーク(3)

「概念フレームワーク」は、会計基準をつくる際の指針の役割をもつ基本的な考え方のまとまりです。
なんか難しい事がいろいろと書かれています。
まあ、ほとんどわかってませんが(って、あんた)。
その中でちょっと気になったのが、今までとても大事だと考えられていた基本的な考え方で概念フレームワークに出てこないものの存在です。

一つは、「実現」です。

以前、企業会計原則の規定、(損益計算書原則一A)をご紹介しました。

そこでは、収入・支出を発生期間に割り当てろと規定されていました。
ただし、収益については、限定があって、未実現収益を計上してはならないことになっています。
つまり、収益については、「実現」したら計上することとされている訳です。
その「実現」という概念が、概念フレームワークには登場しません。
ただ、それに似た概念が登場しています。
概念フレームワークが「実現」概念にかえて用いているのが、「リスクからの解放」という考え方です。

「リスクからの解放」???

なんだかよくわかりませんが。
なぜ、リスクからの解放という新たな考え方を採用したのでしょうか。
果たして、実現概念を捨て去ってしまったのでしょうか。
この点については、日を改めて書きたいと思います。

実現概念については、いわば、別の言葉に置き換えたということのようですが、それ以外に、同様の物が存在しないものとして、「対応」と「配分」とがあります。
おおざっぱにいえば、従来の企業会計は、収益を実現主義で認識する。
その収益に対応する費用が該当期に配分される。
この両者の差引計算で損益計算を行っていた訳です。
対応と配分は、これまでの企業会計の核だった筈です。
概念フレームワークでは、これらの概念を捨て去ってしまったのでしょうか。
この点についても日を改めて書きたいと思います(って、やっぱり)。

概念フレームワークは、まだ討議資料の段階で、試験での直接的出題の可能性が高い訳ではありません。
しかし、これまでの核であるとみられていたものを変質、あるいは登場させないというのであれば、やはりこれは大きな転換ということになるのでしょう。
とするならば、試験委員の意識にものぼりやすく、試験での出題の可能性も高くなる筈ではないでしょうか。
このことは、討議資料をみなければいけないとか、リスクからの解放という考え方を知っていなければならないことを意味している訳ではありません。
ただ、従来の「実現」、「対応」、「配分」ということに対して、きちんとした理解をもって準備しておいた方がよいのではないかと思うのです。
では、より具体的に、どんな出題が想定されるのかは残念ながらわかりませんが、概念フレームワークが試験的な重要性を持つ日もそれほど遠くはないかもしれません。

概念フレームワーク(完←短か)
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2006年03月01日

概念フレームワーク(2)

「概念フレームワーク」は、財務会計の基礎的な考え方の枠組みです。
様々な会計基準の基礎を提供するものといってよいでしょう。
会計基準を新しくつくったり、会計基準を改定したりするときに「概念フレームワーク」を参照しようという寸法です。
今はまだ検討段階の概念フレームワーク自体が試験にダイレクトに関係するということはないでしょう。
しかし、全く関係がないのかというとそうでもないのではないでしょうか。

ここ数年、会計基準のラッシュ状態が続きました。
その余韻は今も残っています。
たくさん出来た会計基準の中で、量も多く、重要性の高いものというと「金融商品に係る会計基準」があります。
実際の適用は、平成12年4月1日以後に開始する事業年度(早期適用がその1年前)からです。
基準の冒頭にある日付をみますと平成11年1月22日となっています。
実際の検討はその数年前から行われていたということになるのでしょう。
金融商品会計基準で従来と大きく異なるようになったのは、有価証券(売買目的有価証券とその他有価証券)の時価評価でした。
今まで、原価(ないしは低価)だったものが時価な訳ですから、これは大きな転換といってよいでしょう。

実際の税理士試験の財務諸表論の理論の出題をみますと、平成16年以前では、平成11年と平成8年に有価証券に関する出題があります(頻度的にも多いです)。
もちろん切り口は同じではありませんが、金融商品会計基準の制定とかなりリンクしているといえるのではないでしょうか。
これは必然という訳ではないでしょうが、偶然でもないでしょう。
今まで原価評価だったものが時価評価になるということは大きな転換です。
当然、色々なところで話題にもなるでしょうし、試験委員の意識にも上りやすくなる筈です。
それが、出題につながったと考える方が自然ではないでしょうか。

その意味では、直接的出題は考えにくいですが、関連して意識に上りやすいと考えられる項目に関しては、受験生の側でも、完全な対策をとるということではなしに、意識にあげておくことは無意味ではないと思います。

と、かなり長くなってきましたが、そのためにちとみておいたらよいのではないかと思うのが、たたき台で、あれっ無くなっちゃったのと思える概念、すなわち、「実現」、「対応」、「配分」の諸概念です。

概念フレームワーク(3)へ
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2006年02月27日

概念フレームワーク(1)

「概念フレームワーク」をご存知でしょうか。
日本での正式な名称は、「財務会計の概念フレームワーク」といいます。
企業会計基準委員会(が頼んだ人達)がつくったものです。
まだたたき台(討議資料)の段階ですが、今後、財務会計の分野で大きな役割を果たすことは間違いないと思います。
簿記の出題というより、影響があるとすると財務諸表論ということになるでしょうか。
まだ検討段階のものですので、いずれにせよ「直接的に」試験に影響がある訳ではないと思います。
直接的な影響がある訳ではありませんが、ルールの作られ方と基礎概念のうち討議資料でとりあげられなかったものについて若干の感想を書いておきたいと思います。

会計のルールのあり方については、様々な姿が考えられると思います。
現実的に存在している方式を大雑把にわけると二つの方式にわけられるといってよいでしょう。
一つは、「体系方式」です・
日本の従来のあり方のように、会計における憲法のような存在(企業会計原則)をつくっておく方式です。
特徴は、ある程度のまとまり(体系)をもっている点と機動的な変更には不向きという点でしょうか。

もう一つは、「バラバラ方式」です。
とりたてて一個のまとまりをもったものではなく、テーマごとにルールを決めていくやり方です。
ピースミール方式などと呼ばれているやり方ですが、アメリカはこのような方式のようです。
不都合があればそれに対する個別的な基準をつくるという方式ですから、対処は早くなるでしょう。
ただ、あまりにルールが多くなりすぎるとルール相互間に矛盾が生ずる等の問題がでてきます。
そこでアメリカでは、それらのルール(基準)を体系化するのではなく、そのルールの元になる考え方(概念フレームワーク)をつくっておいて、基準の改廃の際にその考え方を尊重するという方式がとられているようです。

従来の日本の方式は、「体系方式」でした。
今は、というと、「体系方式」と「バラバラ方式」の中間か、やや「バラバラ方式」に近いといったところかもしれません。
これまで体系的につくられてきたルールをテーマごとにバラしてつくっている訳です。
そのバラバラにつくられている会計基準の数も多くなってきました。
これらの会計基準の改正等の指針としての役割を担うのが「概念フレームワーク」といってよいでしょう。

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2006年01月31日

損益計算書原則一A

企業会計原則の規定で、真っ先に学習すべき重要なものといわれたら、私はこの規定をあげたいと思います。
まずは、規定をみておきましょう。

「すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。」

必ずしも難解な語句が入っている訳ではありませんが、具体的なイメージはわくでしょうか?
おそらくは、伝統的な会計学(新基準以前の会計学)の核であると思います。

文章を二つに分けて考えてみましょう。
「すべての費用及び収益は、

(1)その支出及び収入に基づいて計上し、

(2)その発生した期間に正しく割り当てられるように

処理しなければならない。」

単純にいうと「費用・収益を処理しろ」といっているのですが、その内容が二つあることがわかります。

(1)収支(収入・支出)での計上

(2)発生期間への割当(発生主義への修正)

この規定こそが企業会計原則における発生主義の原則(法規集などのタイトルもそうなっています)を規定したものといえますが、企業会計原則における発生主義の原則は、短くいえば「収支の期間配分」を意味しています。
企業会計原則にいう発生主義の原則は、いきなり「発生」を捉えるのではなく、(1)いったん現金収支を考えて、(2)これを発生という観点で修正したものを想定していることがわかります。

具体的な例で考えてみましょう。
経過勘定項目(前払費用)の例です。

(例題)次の取引の仕訳を示せ(会計期間1月〜12月)
(1)当期の4月1日に1年分(4月から翌年3月分)の家賃120円を現金で支払った。
(2)決算をむかえた。

(解答)
(1)支払家賃120 現  金120 ←現金支出を基礎に「費用」計上
(2)前払家賃 30 支払家賃 30 ←(1)を発生主義の「費用」に修正

(解説)
この例題は、そのまま企業会計原則にいう発生主義の原則の(1)現金収支(この場合は支出)での計上、(2)発生主義への修正(120−30)に対応しています。

このように考えると、企業会計原則にいう発生主義の原則の狙いは、前払家賃を計上することではなく、支出120を費用90に修正することにあることがわかります(もちろん簿記処理としては借方・貸方の区別はなく、同時に計上されますが)。
当初は「費用」120として計上され(2)、そのうちの当期分の費用ではない30を費用(支払家賃)から資産(前払費用)に振替えるのがAの仕訳ということになります。

このような考え方は、例えば減価償却などについても全く同様といえます。
ただし、減価償却の場合には、(1)で「資産」に計上し、これを(2)で「費用」に振替えるという違いがあります。
(1)固定資産 (資産)100 現  金(資産)100 ← 支出額での計上
(2)減価償却費(費用) 10 固定資産(資産) 10 ← 発生主義への修正

経過勘定項目(前払費用)の場合とでは、最初に費用にするか、資産にするかの違いがあるだけで、(1)支出額での計上と(2)その発生額への修正という構図は変わっていません。
簿記的にいうならば、(1)は期中手続であり、(2)は決算整理と呼ばれます。
伝統的な会計学における発生主義の原則が、収支額の期間配分を意味しているという点は極めて重要です。
ぜひ、他の項目、例えば、他の経過勘定項目、消耗品などで、実際に仕訳を想定して、考えてみてください。
損益計算書原則一Aをどれだけ身近に感じることができるかが、伝統的な会計学の理解の要であると思います。
posted by 講師 at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 損益計算書原則 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月30日

再振替仕訳とは何か(10)

経過勘定項目の翌期首における再振替仕訳を行う理由についてみてきました。
一つは、簿記の手続上の役割分担を重視する理論的立場からのものです(直接整理法とのバランス)。
もう一つが、実践上の理由です(期中手続の簡略化)。

簿記の手続上の区分(開始・期中・決算)を重視するという立場もわからなくはありませんが、現実的に別の理由からこれらの手続が混交している場合は少なくないと思います。
また、実践上の理由についても、では、面倒ではないからちゃんとやるんだということでよいのかといわれると返答に窮するという面がないではありません。

それでも「再振替仕訳は翌期首に行う」と多くの書籍にも書いてありますし、もちろん、それに抗うだけの根拠も持ち合わせてはいませんので、「再振替仕訳は翌期首に行う」という指導を今でも行っています(←軟弱な)。

そんな中、より悩ましさを増幅させたのが、実務指針でした。
実務指針では、仕訳処理が例示されていますが、基本的に再振替仕訳を行っていないのです。
実務指針は、いわば財務諸表監査の指針であり、必ずしも簿記的な手続きを重視していないのかもしれません。
再振替仕訳を行う必要性を見出していないのかもしれません。
また、個々の場合においては再振替仕訳をしない方が合理的(自然)と考えているのかもしれません。
実務指針を作成された方のコメントをお待ちしたいと思います(←って、ないでしょ)。

いずれにせよ実務指針のこのような会計処理例がその後の簿記書に影響を与えたことに間違いはないでしょう。
このような会計処理に対して「再振替仕訳は翌期首に行う」との主張を繰り返すならば、本来は、明確な根拠を提示すべでしょうが、残念ながら今も果たせずにいます。

以上、長きに渡って経過勘定項目の再振替仕訳について書いてきましたが、再振替仕訳を翌期首に行うのは何故かという純朴な疑問をおろそかにはしたくないと思う今日この頃です。

(再振替仕訳とは何か・完)
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2006年01月29日

再振替仕訳とは何か(9)

再振替仕訳が翌期首に行われる理由としてあげられることがあるのが、実践的な理由です。
期中処理の借方の科目を支払利息のみにしておいた方が楽チンだからというのがその理由といってよいでしょう。
もう少し、きちんと言うとするなら期中の処理科目を統一したいのです。

簡単な例で示しましょう。

決算時:(借)支払利息30 (貸)未払利息 30

支払時:(借)未払利息30 現金預金120
       支払利息90

経過勘定項目について再振替仕訳をしないとするとこんな感じになるでしょうか。
この支払時の借方を支払利息120にしたいというのがその理由です。
そうすれば期中処理は、前期末にどのような処理が行われたかどうかを考えることなく、いわば誰でも(前期の決算の事を知らない人でも)仕訳がきれることになります。
そうでなければいちいち借方・未払利息をいくらにするのかを確認しなければならなくて、とても面倒です。

借入の相手先が単一で、借入も一口であれば面倒ということもないでしょうが、たくさんあったら面倒なことこのうえありません。
これを避ける意味で、あらかじめ再振替仕訳を行っておき、期中における処理は、借方・支払利息で統一したい訳です。

見越項目(未払費用・未収収益)については、こんな感じですが、繰延項目(前払費用・前受収益)について、再振替仕訳を行わないとすれば、期間の経過時点において費用・収益科目に振替えるということになるでしょうか。
いずれにせよ煩雑さは伴うことになります。

もっともこのような考え方を突き詰めれば、そもそも再振替仕訳を期首に行わず、期末に行えばよいのではないかという考えも出てきかねません。
経過勘定項目という実体のない資産・負債項目を期末まで放置するのですから、とても荒っぽい処理ということはいえるでしょう。

再振替仕訳とは何か(10)へ
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2006年01月27日

再振替仕訳とは何か(8)

再振替仕訳を決算整理の行われた翌期首に行う理由の一つは、いわば簿記の理論上のものです。
このような立場によれば、開始・期中・決算という簿記一巡におけるそれぞれの手続きの役割分担を重視し、その混乱をきらいます。
前回ご紹介した直接整理法との整合を図る上からも、翌期首に再振替仕訳を行うこととされる訳です。

ただし、この直接整理法は、受験簿記で、触れられることはほとんどありません。
また、一般的な簿記の書物をご覧いただいてもわかるように、受験ではなく、一般的な学問としての簿記レベルでも触れられることは多くないのではないかと思います。
ほとんど触れられることのない方法との比較で説明されても多くの受験生は意味不明の状態ではないかと思います(それで構わないと思います)。

そして、もっとも大きな問題が、私自身が軽く納得していない点です。
開始・期中・決算という役割分担の意味はわかります。
しかし、例えば、もう一方の開始手続(開始仕訳・開始記入)のように、必然とまでは言いがたいようにも思えるのです。
開始仕訳→転記や開始記入が行われなければ、帳簿上は、各勘定の残高はゼロのままです。
このまま、期中の手続きを行うのは、どう考えてもおかしいでしょう。

また、決算整理→決算振替(損益振替→資本振替)という順序は納得がいきます。
決算整理は損益や財産を帳簿上、きちんと算出するための手続きです。
これを受けて初めて、損益振替を行うことができる訳ですし、損益振替を行わなければ、もちろん資本振替も行うことはできません。

しかし、再振替仕訳を「開始仕訳・開始記入の後」、「期中手続に入る前」というタイミングで行わなければならないという事が、理論的に自明の事とは必ずしも思えないのです。
事実、いくつかの期中取引の段階では、決算整理事項と考えられる処理を並行的に行うのが一般化している例があります。
例えば、期中で売却した固定資産の減価償却費の計上を売却の処理と同時に行う処理は、割と一般化しているといってよいと思います。
また、逆に、商品勘定の処理について、三分割法をとった場合の決算整理の一部(仕入××× 繰越商品×××)は、むしろ、期首に行うべきだということになるのではないでしょうか(このような処理は、一般的ではありませんが)。

また、直接整理法は、ある種の簡便的な処理方法であると考えられますが、簡便的な処理方法とのバラスンを重視し、原則的な処理法を考えなければならないとすることには、多少の疑問を感じます。

次回以降は、簿記の理論的な側面ではなく、いわば実践に配慮した考え方をご紹介したいと思います。

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2006年01月26日

再振替仕訳とは何か(7)

経過勘定項目の整理方法としては、「間接整理法」が一般的です。
間接整理法とは、「前払費用(利息)」等の具体的な勘定を用意して、決算整理を行う方法を意味します。
これに対して、直接に費用(収益)勘定で繰越処理を行い(英米式の場合)または残高勘定に振替える方法(大陸式の場合)は「直接整理法」や「直接控除法」などと呼ばれます。

受験簿記においてはほとんど触れられることのない直接整理法ですが、大陸式を例にとって考えておきましょう(本当に、受験ではおおむね必要ありません)。

(間接整理法)
×1期
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算整理)前払利息 30 支払利息 30
(決算振替)損  益 90 支払利息 90
(決算振替)決算残高 30 前払利息 30
×2期
(開始仕訳)前払利息 30 開始残高 30
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算整理)前払利息 30 支払利息 30
(決算振替)損  益120 支払利息120
(決算振替)決算残高 30 前払利息 30

直接整理法
×1期
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算振替)損  益 90 支払利息 90
(決算振替)決算残高 30 支払利息 30
×2期
(開始仕訳)支払利息 30 開始残高 30
(期中手続)支払利息120 現金預金120
(決算振替)損  益120 支払利息120
(決算振替)決算残高 30 支払利息 30

直接整理法では、経過勘定は設けられず、直接、費用(収益)科目で繰越の処理が行われることになります。
この直接整理法をとった場合の期中手続に入る前の支払利息勘定は30円となっており、この支払利息勘定の金額とのバランスをとるためには、前払費用(利息)勘定という経過勘定を用いる間接整理法においては、再振替仕訳が必要であることになります。

再振替仕訳とは何か(8)へ
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2006年01月25日

再振替仕訳とは何か(6)

簿記一巡の手続は、(1)開始手続→(2)期中手続→(3)決算手続という順序で行われます。

このうち、ボリュームが最も多く、企業の日常的な活動を対象としているのが、(2)の期中手続です。
商品を売ったり、買ったり、給料やその他の経費を支払ったり。
期中手続の対象となるのは、大多数の日常的な「対外的」取引といってよいでしょう。
対外的な取引の記録は、その対外的な取引という客観的な事実(それは多くの場合、収支と言い換えてもよいでしょう)に基づいて、行われます。

(3)の決算手続は、決算整理と決算振替からなります。
(2)の対外的な期中取引をその事実に基づいて記録するだけでは、期中の正しい損益や財産の状況を示すとは限りません。
その期中における「収支」を「損益」に直す手続が決算整理といってよいでしょう(もちろん、決算整理は、損益に関わることだけではありませんが)。

決算整理が行われただけでは、「帳簿」上は、損益が算定されている訳ではありません。
損益を帳簿上、算定するための手続が「損益振替」です。
決算段階でも精算表を作成すること等により損益がいくらかを知ることはできるでしょう。
しかし、帳簿上に損益がいくらかを示すには、損益に関する項目を一箇所に集める必要があります。
そのために設けられる集合勘定が損益勘定であり、損益勘定で算定された損益を資本に振替えるための手続が「資本振替」です。

帳簿が締め切られ、翌期の初めに行われる手続が(1)の開始手続です。
開始手続で初めに行われる手続が、開始記入(英米式)又は開始仕訳(大陸式)です。
前期末の帳簿を締め切った段階で、元帳は、いわば白紙の状態になっており、期中の手続を記録する前に、期首の残高を記録しておく必要があります。
この後に行われるのが、再振替仕訳です。

上記のような簿記一巡の手続の流れの役割分担を重視する立場からは、再振替仕訳は期中手続に入る準備作業の一つとして、「期首」に行わなければならないと説明されることが多いようです。
また、このような簿記の手続を理論的に考える立場からは、経過勘定項目に関する一般的な処理方法(間接整理法)に対する直接整理法との対比で語られることもあります。
次回は、この(受験簿記においてはみかけることの少ない)直接整理法を簡単にご紹介したいと思います。

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2006年01月24日

再振替仕訳とは何か(5)

再振替仕訳とは、経過勘定項目の設定の翌期における逆仕訳を意味しており、通常は、翌期首に行うこととされています。

再振替仕訳の行われるタイミングを、簿記一巡の手続の流れの中で確認しておきましょう。
簿記の手続は、その行われるタイミングから次のように区別することができるでしょう。

(1)期首 → (2)期中 → (3)期末

やや簿記的な言葉で補足すると次のようになります。

(1)期首(開始手続) →(2)期中 → (3)期末(決算手続)

より細かい手続を加えてみましょう。

(1)開始手続……開始仕訳(開始記入) → 再振替仕訳
(2)期中手続
(3)決算手続……決算整理 → 決算振替(損益振替 → 資本振替)

再振替仕訳は、上記のように、大陸式の場合でいえば、開始仕訳の直後(期中手続に入る前)に行うこととされています。

さて、再振替仕訳は本当に、ここ(開始仕訳の直後)で行わなければならないのでしょうか。
(2)の期中手続や決算手続の段階で行うのではいけないのでしょうか。

再振替仕訳は翌期首に行われることとされますが、通常その理由としては、次の二点があげられることが多いようです。

(1)「直接整理法」とのバランスをとるため
(2)期中処理の簡略化

(1)が簿記の理論上の理由とするなら、(2)は簿記の実践上の理由といってよいと思いますが、次回以後は、それぞれの理由について検証してみたいと思います。

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