2006年02月27日

概念フレームワーク(1)

「概念フレームワーク」をご存知でしょうか。
日本での正式な名称は、「財務会計の概念フレームワーク」といいます。
企業会計基準委員会(が頼んだ人達)がつくったものです。
まだたたき台(討議資料)の段階ですが、今後、財務会計の分野で大きな役割を果たすことは間違いないと思います。
簿記の出題というより、影響があるとすると財務諸表論ということになるでしょうか。
まだ検討段階のものですので、いずれにせよ「直接的に」試験に影響がある訳ではないと思います。
直接的な影響がある訳ではありませんが、ルールの作られ方と基礎概念のうち討議資料でとりあげられなかったものについて若干の感想を書いておきたいと思います。

会計のルールのあり方については、様々な姿が考えられると思います。
現実的に存在している方式を大雑把にわけると二つの方式にわけられるといってよいでしょう。
一つは、「体系方式」です・
日本の従来のあり方のように、会計における憲法のような存在(企業会計原則)をつくっておく方式です。
特徴は、ある程度のまとまり(体系)をもっている点と機動的な変更には不向きという点でしょうか。

もう一つは、「バラバラ方式」です。
とりたてて一個のまとまりをもったものではなく、テーマごとにルールを決めていくやり方です。
ピースミール方式などと呼ばれているやり方ですが、アメリカはこのような方式のようです。
不都合があればそれに対する個別的な基準をつくるという方式ですから、対処は早くなるでしょう。
ただ、あまりにルールが多くなりすぎるとルール相互間に矛盾が生ずる等の問題がでてきます。
そこでアメリカでは、それらのルール(基準)を体系化するのではなく、そのルールの元になる考え方(概念フレームワーク)をつくっておいて、基準の改廃の際にその考え方を尊重するという方式がとられているようです。

従来の日本の方式は、「体系方式」でした。
今は、というと、「体系方式」と「バラバラ方式」の中間か、やや「バラバラ方式」に近いといったところかもしれません。
これまで体系的につくられてきたルールをテーマごとにバラしてつくっている訳です。
そのバラバラにつくられている会計基準の数も多くなってきました。
これらの会計基準の改正等の指針としての役割を担うのが「概念フレームワーク」といってよいでしょう。

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2006年03月01日

概念フレームワーク(2)

「概念フレームワーク」は、財務会計の基礎的な考え方の枠組みです。
様々な会計基準の基礎を提供するものといってよいでしょう。
会計基準を新しくつくったり、会計基準を改定したりするときに「概念フレームワーク」を参照しようという寸法です。
今はまだ検討段階の概念フレームワーク自体が試験にダイレクトに関係するということはないでしょう。
しかし、全く関係がないのかというとそうでもないのではないでしょうか。

ここ数年、会計基準のラッシュ状態が続きました。
その余韻は今も残っています。
たくさん出来た会計基準の中で、量も多く、重要性の高いものというと「金融商品に係る会計基準」があります。
実際の適用は、平成12年4月1日以後に開始する事業年度(早期適用がその1年前)からです。
基準の冒頭にある日付をみますと平成11年1月22日となっています。
実際の検討はその数年前から行われていたということになるのでしょう。
金融商品会計基準で従来と大きく異なるようになったのは、有価証券(売買目的有価証券とその他有価証券)の時価評価でした。
今まで、原価(ないしは低価)だったものが時価な訳ですから、これは大きな転換といってよいでしょう。

実際の税理士試験の財務諸表論の理論の出題をみますと、平成16年以前では、平成11年と平成8年に有価証券に関する出題があります(頻度的にも多いです)。
もちろん切り口は同じではありませんが、金融商品会計基準の制定とかなりリンクしているといえるのではないでしょうか。
これは必然という訳ではないでしょうが、偶然でもないでしょう。
今まで原価評価だったものが時価評価になるということは大きな転換です。
当然、色々なところで話題にもなるでしょうし、試験委員の意識にも上りやすくなる筈です。
それが、出題につながったと考える方が自然ではないでしょうか。

その意味では、直接的出題は考えにくいですが、関連して意識に上りやすいと考えられる項目に関しては、受験生の側でも、完全な対策をとるということではなしに、意識にあげておくことは無意味ではないと思います。

と、かなり長くなってきましたが、そのためにちとみておいたらよいのではないかと思うのが、たたき台で、あれっ無くなっちゃったのと思える概念、すなわち、「実現」、「対応」、「配分」の諸概念です。

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2006年03月03日

概念フレームワーク(3)

「概念フレームワーク」は、会計基準をつくる際の指針の役割をもつ基本的な考え方のまとまりです。
なんか難しい事がいろいろと書かれています。
まあ、ほとんどわかってませんが(って、あんた)。
その中でちょっと気になったのが、今までとても大事だと考えられていた基本的な考え方で概念フレームワークに出てこないものの存在です。

一つは、「実現」です。

以前、企業会計原則の規定、(損益計算書原則一A)をご紹介しました。

そこでは、収入・支出を発生期間に割り当てろと規定されていました。
ただし、収益については、限定があって、未実現収益を計上してはならないことになっています。
つまり、収益については、「実現」したら計上することとされている訳です。
その「実現」という概念が、概念フレームワークには登場しません。
ただ、それに似た概念が登場しています。
概念フレームワークが「実現」概念にかえて用いているのが、「リスクからの解放」という考え方です。

「リスクからの解放」???

なんだかよくわかりませんが。
なぜ、リスクからの解放という新たな考え方を採用したのでしょうか。
果たして、実現概念を捨て去ってしまったのでしょうか。
この点については、日を改めて書きたいと思います。

実現概念については、いわば、別の言葉に置き換えたということのようですが、それ以外に、同様の物が存在しないものとして、「対応」と「配分」とがあります。
おおざっぱにいえば、従来の企業会計は、収益を実現主義で認識する。
その収益に対応する費用が該当期に配分される。
この両者の差引計算で損益計算を行っていた訳です。
対応と配分は、これまでの企業会計の核だった筈です。
概念フレームワークでは、これらの概念を捨て去ってしまったのでしょうか。
この点についても日を改めて書きたいと思います(って、やっぱり)。

概念フレームワークは、まだ討議資料の段階で、試験での直接的出題の可能性が高い訳ではありません。
しかし、これまでの核であるとみられていたものを変質、あるいは登場させないというのであれば、やはりこれは大きな転換ということになるのでしょう。
とするならば、試験委員の意識にものぼりやすく、試験での出題の可能性も高くなる筈ではないでしょうか。
このことは、討議資料をみなければいけないとか、リスクからの解放という考え方を知っていなければならないことを意味している訳ではありません。
ただ、従来の「実現」、「対応」、「配分」ということに対して、きちんとした理解をもって準備しておいた方がよいのではないかと思うのです。
では、より具体的に、どんな出題が想定されるのかは残念ながらわかりませんが、概念フレームワークが試験的な重要性を持つ日もそれほど遠くはないかもしれません。

概念フレームワーク(完←短か)
posted by 講師 at 22:26| Comment(50) | TrackBack(0) | 概念フレームワーク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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