2007年03月01日

リスクからの解放とは何か(9)

概念フレームワークでは、財務報告の目的を投資家の投資意思決定への支援におきました。
求められる会計情報は、投資家の投資意思決定に有用性を有するものです。
投資家の投資判断に際して、企業の結果としての成果に関する情報は不可欠でしょう。
その結果としての業績指標である利益(純利益)を示すための考え方がリスクからの解放です。

リスクからの解放は、投資目的に対して期待どおりの成果が確定した段階で利益(収益)を認識する考え方です。
事業投資(たこ焼)の目的はその事業を通じてキャッシュを増加させることにあります。
利益は、その事業目的にてらして確定した成果が得られた段階、つまりは、商品を引渡し、現金を受領した段階で認識されます。
事業投資についてのそのタイミングは、従来の実現の考え方と何ら異なりません。

大きく異なるのは、金融投資(株式等)です。
売買目的有価証券のように時価の変動を狙って投資を行うのであれば、時価の変動そのものを確定した成果と考えることができるでしょう。
同様に株式といっても子会社株式のようにその売却に制約のあるものもあります。
子会社株式についてまで、時価の変動で損益を認識すべきという事にはなりません(むしろ事業投資というべきでしょう)。
このように投資目的に応じて、利益(収益)の認識を考えるところにリスクからの解放の特徴があります。

このようにリスクからの解放は、事業目的に応じて利益(収益)の認識を考えています。
財産法的な利益である包括利益を損益法的な利益である純利益に絞込むために概念フレームワークがとった考え方、それがリスクからの解放です。
いわば資産負債アプローチにおける利益(包括利益)から収益費用アプローチにおける利益(純利益)へのフィルターがリスクからの解放といってよいでしょう。

資産負債アプローチと呼ばれる新しい会計の考え方のもとでは、まず、資産と負債が定義されています。
我国の概念フレームワークでも、まず資産と負債を定義し、その差額を純資産としました。
そして、純資産の変動額を包括利益としています。
ここまでは、我国が範とすることの多いアメリカや国際会計基準(だったかな)と同じようです。
しかし、概念フレームワークの特徴は、これとは別に純利益を定義した点にあります。
純利益を包括利益から独立させて定義し、純利益から収益と費用を導いています。

純利益には、包括利益にはない(であろう)結果としての業績指標という意味があります。

しかし、時代は、どうやら純利益ではなく、包括利益へと傾いているようです。

我国では制度上、包括利益は示されていません。
しかし、時代は包括利益を選びそうな雲行きです。

一体、私はどうすればよいのでしょうか?(←って、アナタですか?)

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