2007年02月28日

リスクからの解放とは何か(7)

概念フレームワークでは、財務報告の目的を投資意思決定におき、会計情報にその投資意思決定に対する有用性を求めました。
投資家の投資意思決定には、自らが投じた資金を企業がどのように利用し、成果を上げたのかに関する情報は不可欠です。
自分の事前の予想との食い違いをみるには、結果としての(事実としての)企業の業績に関する情報が必要でしょう。
概念フレームワークでは、投資目的に対して期待どおりの確定した成果があがった段階で利益を認識すべきと考えました。
このような成果は、通常は、キャッシュの獲得そのものによって確認できるでしょう。
このような利益の認識に関する考え方が「リスクからの解放」です。

いわば本業(事業投資)の利益が確定したとみられるのは、商品販売でいえば、販売時点です。
しかし、金融投資が、これと全く同じ考え方でよいとは限りません。
たこ焼を一生懸命つくって売るのと、株式の値段があがって売る利益は一緒なのかという問題はあるでしょう。

ここで、現状の会計基準での取扱いをみておきましょう。
金融商品会計基準では、売買目的有価証券を時価で評価し、評価差額を損益としています。
売買目的有価証券は、「時価の変動により利益を獲得する目的で取得する有価証券」と定義されています。

そもそもが時価の変動を見越して資金を投じている以上、その時価の変動そのものが成果というべきでしょう。
売買目的有価証券については、当初の目的(時価の変動)を達成した以上、そこで利益を計上すべきです。
これに対して、子会社株式を同列に論じることはできません。
子会社株式は、そもそもがその会社を支配する目的があるのですから、売る事に制約があります。
このように投資目的(時価の変動か、子会社の支配か)に対して、利益(収益)の認識も区別して考える必要があります。

<たこ焼き>…………引渡時点
<株式>
売買目的有価証券……値上時点(決算で時価評価)
子会社株式……………引渡時点(決算で原価評価)

このような関係を投資目的と関連づけているのが、リスクからの解放です。
大きなポイントは、事業投資と金融投資(つまりは、企業の全般的な活動)について、統一的な視点で利益(収益)の認識を考えている点でしょう。
企業が行った投資が事業投資であるならその事業投資の目的にてらして、金融投資であるならその金融投資の目的にてらして、利益の認識のタイミングを考えることとしたのです。
その投資目的にそった成果が確定したら利益を認識するそれが「リスクからの解放」の考え方です。

事業投資の目的は、事業活動を行いその事業活動を通じてキャッシュを獲得することにあります。
利益(収益)を認識すべきタイミングは、たこ焼を売って、現金を手にした時点でしょう。

金融投資の目的について、異論はあるかもしれません。
時価の変動そのものが、本当に成果なのか?
私も本当はよくわからないのですが、一応わかったフリをしています(←フリなのね)。
皆さんもわかったフリという事でよろしくお願いします。

売却(や時として購入)そのものよりも、時価の変動(買った株式については、値上がり)が重要であるという考え方は頷けるでしょう。
時価の変動そのものが目的なら、その成果も時価の変動によって確認されるべきであり、時価の変動を損益とすべきことになる訳です。

この点、「売買目的有価証券」という呼称そのものはミスリードの可能性を残しているのでやや残念かなあと思います。
つまりは、「売買」が目的で、そのタイミングで利益を認識する訳ではなく、「時価の変動」そのものを狙ってそのタイミングで利益を認識する。
そんな有価証券が「売買目的有価証券」なのですから。

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