2007年01月23日

利益とは何か(完)

簿記を学習しはじめた当初、利益計算の方式には、財産法と損益法があり、両者の利益は一致すると習いました。

財産法:期末純資産−期首純資産=純利益
損益法:収益−費用=純利益

しかし、現状の損益計算書の最終値である当期純利益は、当期の純資産の増ではありません。
純資産の変動額は、包括利益と呼ばれます。

概念フレームワークでは、曖昧になりがちな収益と費用を直接的に定義することをせず、具体的な資産と負債をまず定義しました。
資産と負債の定義を定め、その差額を純資産とし、純資産の変動額を包括利益とする。
同様に純資産の変動額から純利益の概念を導き、純利益の増減に関連させて収益と費用を定義しています。

概念フレームワークの利益概念は、定義面から見るかぎり、いわば財産法的です。
しかし、損益計算書の最終値は当期純利益です。
このことからもわかるように、概念フレームワークで重視しているのは、包括利益ではなく、むしろ純利益といえるでしょう。
定義面を考えると、ストックを重視しているように見えます。
その延長で考えれば、ストックから導かれる包括利益に重点が置かれてもよさそうです。
しかし、概念フレームワークでは、包括利益よりも純利益というフローを重視しているのです。

貸借対照表項目を絶対視するなら純資産の変動額(包括利益)を唯一の利益とするのも一つの考えでしょう。
事実、そのような考え方もあります。
その方が、少なくとも形式上は、損益計算書上の利益と純資産の変動額が一致してわかりやすいでしょう。
しかし、概念フレームワークでは、定義面では、包括利益と純利益を独立させ、包括利益よりも純利益を重視しました。
この点が概念フレームワークにおける大きな工夫といってよいでしょう。

貸借対照表項目に時価や現在価値を求める動きは止まりそうにありません。
時代は、明らかに損益計算書項目重視から貸借対照表項目重視へと移っています。

概念フレームワークにあげられている二つの利益。
概念フレームワークでは、明らかに包括利益ではなく、純利益を重視しています。

概念フレームワークで、貸借対照項目を重視しつつ、包括利益ではなく、純利益を重視しているのはなぜでしょうか?
包括利益と純利益とでは何がどのように違うのでしょうか?
包括利益から純利益を区別するために概念フレームワークはどのような考え方をとっているのでしょうか?

概念フレームワークで包括利益を純利益に絞り込むためにとった考え方「リクスからの解放」とは一体何でしょうか?

謎を深めつつ、利益とは何か(完)

リスクからの解放とは何か(1)へ続く(←続きましたか)
posted by 講師 at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 利益とは何か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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