目に見える具体的な現金という資産を軸に仕訳を考えた事がよかったのかもしれません。
「現金(キャッシュ)」は、単に明確である以上に重要なのでしょう(きっと)。
静態論のもとでの資産は、「現在の」売却可能な財産でした。
動態論のもとでの資産の典型は、「過去の」支出未費用項目でした。
概念フレームワークのもとでの資産は、「将来の」現金収入に貢献するものです。
これらの考え方の違いが資産の評価額にもそのまま影響しています。
静態論のもとでの資産の評価額は、「現在の」売却価額です。
動態論のもとでの資産の評価額は、「過去の」支出額(取得原価)を基礎にしています。
新会計基準のもとでの資産の評価額は、「将来の」収入額を基礎にしたものが多いです。
静態論や動態論では、「今」や「過去」をメインに考えていました。
これに対して、概念フレームワークの資産概念では、「将来」時点が想定されている点が大きく異なっています。
「今(過去)」と「将来」の間にある時間。
その時間の差を埋めるのが割引(現在)価値の考え方です。
将来の現金収入を想定し、現在の金額を決めるのに必要なのが割引(現在)価値の考え方です。
将来(1年後)の現金収入110円
割引率10%
割引現在価値 110円÷(1+0.1)=100円
将来(1年後)の現金収入110円をもとに、現在の貸借対照表に計上する金額を算出するには、時点のベースをそろえる必要がある訳です。
そのための計算が割引計算で、割引計算の結果に算出されたのが、割引(現在)価値です。
いわゆる新会計基準で割引(現在)価値が登場する事が多いのは、このような事情からといってよいでしょう。
概念フレームワークの資産概念は、一面では、静態論のもとでの資産概念に近いといってよさそうです。
しかし、決定的に異なるのは、それが「将来の収入」に関連付けされている点です。
「将来の収入」と「今の収入」との差は、時間にあります。
その違いを埋めて、貸借対照表に時点(将来→現在)をそろえて各項目を計上するためには、ちょっとした工夫が必要です。
その必要な工夫、それが割引(現在)価値の考え方に他なりません。
概念フレームワークにおける資産概念は、動態論のもとでの資産概念よりも静態論のもとでの資産概念に近いようには思えます。
どちらにより近いのかは概念フレームワークをおつくりになられた方のコメントをお待ちしております(←だからないって)。
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