財産法によれば、純利益は、期末純資産と期首純資産の差額、つまり、「純資産の変動額」として算定されます。
そして両方法による純利益は一致します。
両方式の計算要素である収益や費用、純資産が明確であれば、何も問題はありません。
しかし、それぞれの概念(収益、費用、純資産)は、それほど明確なのでしょうか?
もちろん、収益、費用、純資産は、簿記会計で一般的に使用されている用語です。
皆目検討がつかないということはないでしょう。
しかし、例えば、「収益とは何か?」という問いに置き換えて考えてみてください。
案外とやっかいな問題であることに気づくのではないでしょうか。
損益法では、純利益は収益と費用の差額として算定されます。
純利益を仮に、「収益と費用の差額」と定義するなら、収益や費用がきちんと定まっていないと意味がありません。
それでは、収益とは一体何なのでしょうか?
費用とは一体何なのでしょうか?
極めて抽象的には、収益は「成果」であるとはいえそうです。
100円の商品を仕入れて、その商品が150円で売れれば、150円の成果があがったとはいえるでしょう。
150円の売上という成果を獲得するためには、100円の売上原価という犠牲は不可欠です。
このように考えると費用は「犠牲」だといってよいかもしれません。
売上という価値の獲得=成果が収益で、売上原価という価値の消費(喪失)=犠牲が費用ととりあえずはいえそうです。
しかし、どうも判然としないとの印象を抱くのは私だけでしょうか。
もう少しいえば、すっきりしないのです。
経験的には、すっきりとしているかいないかということは案外と大事なように思います。
誰もが言っている事であったとしても、それが正しい事であったとしても、自分ですっきりしていないことを元にして、その先を語ることはできません。
おぼろげながらも成果や犠牲という語を使えば、収益や費用の性格を何らかの形であらわしていることにはなりそうです。
しかし、もっと明確な考え方をとることはできないのでしょうか?
すっきりすることはできないのでしょうか?
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