2006年07月12日

動態論の資産概念(6)

前回の例に手形回収を加えてみましょう。

設立:現金(1)100 資 本 金100
仕入:商  品100 現  金100
掛売:売上原価100 商  品100
掛売:売 掛 金150 売  上150
手形:受取手形150 売 掛 金150
回収:現金(2)150 受取手形150

現  金:支払手段
商  品:支出未費用
受取手形:収益未収入
売 掛 金:収益未収入

動態論では、資産を「支払手段」、「支出未費用」、「収益未収入」等からなるものとして捉えますが、ぶっちゃけ何だかつかみ所がない気がします。
おそらくは、「だからどうしたのか」が明確ではないからでしょう。

やや、異なる視点から考えてみましょう。
それは、「資金(資産)の流れ」と「その金額(100円と150円)」についてです。

(1)資金の投下の過程
上記の仕訳の借方(100円)に注目してみると、当初の現金(1)が、商品、売上原価へと姿を変えていることがわかります。

現金(1) → 商品 → 売上原価

(2)資金の回収の過程
また、同様に借方(150円)に注目してみると、売掛金、受取手形、現金(2)と姿を変えていることがわかります。

売掛金 → 受取手形 → 現金(2)

商品の販売を契機に異なる金額(100円と150円)が資産(費用)に付されています。

動態論では、このように、(1)資金の投下の過程にある資産(商品)をその資金の投下額(支出額)で捉え、(2)資金の回収の過程にある資産(売掛金、受取手形)をその資金の回収額(収入額で捉えています。

(1)資金の投下の過程 → 商品       →100円(資金の投下額)
(2)資金の回収の過程 → 売掛金、受取手形 →150円(資金の回収額)

(1)の資産が、費用性資産と呼ばれ、(2)の資産が、貨幣性資産と呼ばれます。
費用性資産は、資金の投下額を基に評価され、貨幣性資産は、資金の回収額を基に評価されます。

商品販売を例にあげて、動態論の資産概念をみてきました。
いま一つ、典型的な取引を取り上げ、なんとか総括したいと思います。

動態論の資産概念(7)
posted by 講師 at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 動態論の資産概念 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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