(1)売却価値のある財産(静態論……財産計算中心)
(2)貨幣性資産と費用性資産(動態論……損益計算中心)
(3)経済的資源等(新静態論……?)
静態論のもとでの資産は、売却価値を有する財産であり、その貸借対照表価額は、売却時価になります。
考え方そのものは極めて明確ですが、売却時価の算定が必ずしも容易ではありません。
そこでより確実な評価の標準として求められたのが原価だったといってよいかもしれません。
動態論(動的貸借対照表論)は、貸借対照表ないしは会計全般に関する考え方ですから、原価(支出)に限定するとやや正確性を欠きます。
むしろ、収支(収入と支出)といった方がよいでしょう。
静態論は、財産計算を重視しますが、動態論では、損益計算をその中心においています。
ある期間の損益は次のように計算されます。
収益−費用=利益
今、仮に、企業の全生涯を仮に想定した場合、その全生涯における損益計算は、収入から支出を差し引くことにより計算できる筈です。
この場合、もちろん資本取引は除外します。
収入=収益、支出=費用
収入−支出=「利益」
しかし、ある会計期間だけを抜き出した場合には、収入=収益、支出=費用という関係がなりたっている訳ではありません。
ある会計期間において、収入と収益、支出と費用の違いから生ずる項目を収容するのが貸借対照表だというのが動態論における基本的な貸借対照表に対する考え方といってよいでしょう。
では、より具体的に動態論のもとでの資産はどのように考えられているのでしょうか。
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